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京都を拠点に活動する染色作家の髙谷光雄(1941~)は、同時代の真実を、蝋染の技法で寓意的にあらわす作品を手掛けています。その真実は、戦時下の大量殺戮や原子力発電所のメルトダウン事故など重い内容を含みますが、画面には強制収容所の線路や原爆ドーム、立ち昇る煙など控えめに描かれるのみで、声高なメッセージを発するわけではありません。むしろ融解する巨大なリンゴや、大空を泳ぐクジラを前に、観る側は作者からの問いかけを読み解く想像力をかき立てられます。若いころ旧約聖書の逸話をタイトルに掲げ、写実的な舟や家屋を鮮烈な色彩空間に象徴的に配した連作を展開した作家は、世紀が変わるあたりで作風を大きく転換し、戦前回帰の風潮や排他主義の伸長など具体的な社会状況から作品を構想するようになりました。9.11の同時多発テロからアフガン、イラクの戦争へ至る世相も影響したのかもしれません。戦争の非道を告発したケーテ・コルヴィッツを敬愛する髙谷の仕事はまた、ゴヤの風刺画や浜田知明の版画、丸木位里・俊夫妻の画業などともつながりを感じさせ、染色の世界では稀有な存在です。近年は題名に「交響曲」を冠する大作のシリーズに取り組み、一部は海外で収蔵されるなど、作品への共感は一段と広がりつつあります。日本の染色は主に衣類を装飾する技術として発展し、描かれる主題は花鳥風月に代表される日本の伝統的な美意識でした。髙谷も伝統的な技法を駆使しつつ、深い洞察力と内省に導かれて人間の真実を求め伝えます。その孤高の創作を、感染拡大による2年の延期を経て今回、新作をまじえた個展形式でご紹介できることは、企画者としてこの上ない喜びです。

Nakagyō Ward, Japan
Somé Seiryukan
染・清流館(そめ・せいりゅうかん)は、京都市中京区にある染色をテーマにした染色専門美術館。ロウ染や絞り染などの染色芸術を展示する美術館で、世界初の染色に焦点を当てた専門美術館である。呉服の企画・製造・販売などを手がける大松株式会社(京都市中京区)が、「日本の染色アートを世界に向けて発信する」ことを目的として、2006年京都にオープンした。「染色のまち・京都」を拠点に活躍する作家100名の作品約500点を所蔵し、巨匠から新鋭まで様々な染色作家達の作品を展示している。1991年には、『第一回染・清流展/京都市美術館』が開催された。以後東京(目黒区美術館)で開催。
染・清流館 ・ 京都府京都市
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ルーヴル美術館
〜 2016.8.28
ルーヴル美術館のクール・カレに設置されたエヴァ・ジョスパンの「パノラマ」は、都市と自然の世界を映し出す建築的な彫刻です。