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葛飾北斎が70歳を超えた円熟期に手がけた、この大波をご覧ください。1 北斎はこの作品で、富士山を主役にしながら、あえて前景の巨大な波よりも遠く小さく描きました。2一瞬で砕ける波と、永遠に動かぬ富士。その対比こそが、この画面に深い精神性を与えています。2 波頭の飛沫は、まるで無数の爪のように富士へと迫ります。近年の研究では、これは津波ではなく、波長の短い「一発大波」を描いたものと考えられています。3 波に翻弄されるのは、房総から江戸へ海産物を運ぶ押送船です。船内には約30人の人々が乗っており、自然の猛威を前に硬直する人間の姿が、動的な波との対比で浮かび上がります。4 19世紀後半にヨーロッパへ渡ると、ゴッホら後期印象派の画家たちに大きな衝撃を与え、「ジャポニスム」を象徴する一枚となりました。5
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