

The Apotheosis of Washington
Constantino Brumidiこの作品について
描かれているもの
作品名の「アポテオーシス」とは「神格化」を意味します。初代大統領ワシントンが天に昇り、神へと変貌を遂げる様子を、古代神話の神々に囲まれた壮大な姿で描き出しています。[1] ワシントンは古代ローマの将軍が凱旋式で身にまとった「紫色の衣」を羽織っています。これは彼を単なる政治家ではなく、共和制の守護者であり、勝利した英雄として神格化するための演出です。[1] 自由の女神が被る赤い帽子は、古代ローマで解放された奴隷に与えられた「ピレウス帽」です。これは、アメリカにおける自由と奴隷解放の象徴として、深い政治的意味を込めて描かれました。[1] 周囲を囲む「戦争」や「科学」などの6つの寓話的な場面は、実は議事堂の床からは完全には見えません。この「隠された細部」が、ドームを見上げる人々に神秘的な奥行きを感じさせています。[1]
背景と物語
地上約55メートルの高さに描かれたこのフレスコ画では、人物像が最大4.6メートルもの巨体で描かれています。これは下から見上げる人々が、その威容をはっきりと認識できるように計算されたサイズです。[1] ドームの天井に広がるフレスコ画の面積は約433平方メートルにも及びます。ブルミディはこの広大な空間を、南北戦争末期のわずか11ヶ月という驚異的なスピードで描き上げました。[1] ブルミディはこの作品の制作費として4万ドルを受け取りました。これは現在の価値に換算すると約84万ドル(約1億円以上)に相当し、当時の芸術作品への投資としては極めて破格でした。[1] ドーム自体は1863年に完成していましたが、この天井画が完成したのは南北戦争が終結した1865年でした。国家の分裂と再統合という激動の時代を象徴する、歴史的なモニュメントです。[1] 南北戦争の終結期に描かれたため、13人の乙女のうち数人はワシントンに背を向けています。これは、当時アメリカ合衆国から離脱していた南部諸州を象徴的に表現したものだと言われています。[1] 作者のブルミディは、かつてバチカンで教皇グレゴリウス16世に仕えた経歴を持つイタリア人です。その高度な技術は、アメリカの国会議事堂を「新世界のバチカン」へと変貌させました。[1]