

諸国瀧廻り 下野黒髪山きりふりの滝
葛飾北斎この作品について
背景と物語
本作は天保4年(1833年)頃、江戸の版元である西村屋与八から刊行された、葛飾北斎による錦絵の揃物『諸国瀧廻り』全八図のうちの一図である。[1] 日光三名瀑の一つである霧降の滝と、日光東照宮への参詣や帰路の途中にその滝を見上げる旅人たちの姿が描かれている。[1] 男体山の別名である「黒髪山」という名称から着想を得たのか、流れ落ちる流水は女性の黒髪を連想させるようなタッチで描画されている。[1] 実際の滝は上下二段に分かれているが、北斎は画面構成上、左上に上滝、右上に下滝を配置して一つの画面に情報を詰め込んでいる。[1] 岩に当たって分裂する白と藍の水の筋、周囲の緑の木々、そして黄色い岩肌による鮮やかな色彩のコントラストで画面が構成されている。[1] 「ベロ藍」と呼ばれる輸入された化学染料(紺青)が惜しみなく使用されており、滝を流れる水が鮮烈な青色で表現されている。[1] 中国の山水画の様式を取り入れた漢画風の作品で、下から上を見上げる「高遠」などの北宋様式の構図や描法が試みられている。[1] 北斎は本作制作の約2年前に日光を旅した可能性があり、その際に霧降の滝を実際にスケッチしていたのではないかと推測されている。[1] 地誌『日光山志』の挿絵制作のために日光の名瀑を観覧した経験が、北斎の中に様々な水の様態を表現したいという意欲を芽生えさせた。[1] 本揃物では、山岳信仰の聖地や観音様が祀られている滝など、民間の信仰対象となっている場所が作画の対象として選定されている。[1]
出典
この絵に描かれているもの
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