諸国瀧廻り 下野黒髪山きりふりの滝
0:000:00
見どころ
1分43秒
解説の書き起こしと出典
事実に基づく記述には出典を明記しています。番号は下の一覧に対応します。
江戸時代後期、葛飾北斎は「諸国瀧廻り」と題した連作で、日本各地の滝を描きました。これは単なる風景の記録ではありません。元来「名所」とは詩歌や文学と結びついた特別な場所を指し、そこを訪れること自体が精神的な行為でした。1北斎はその伝統を木版画という大衆的な媒体に乗せ、見る者を旅へと誘ったのです。 左側に迫る急峻な岩肌をご覧ください。岩は単色ではなく、繊細な濃淡で量感が表されています。日本の木版画は水性インクを用いることで、このような透明感のあるぼかしを実現できました。2 滝を見上げる人物は、私たちの視線を自然と上方へ導きます。人物は意図的に小さく描かれ、滝の圧倒的なスケールを際立たせる装置となっています。 滝壺に広がる飛沫と波紋には、北斎ならではの動きの表現が宿っています。水の形を幾何学的に捉えながらも、激しさと静けさが同居しています。 丘を登る人物の存在が、この場所を「訪れるべき名所」として位置づけています。3風景は眺めるものではなく、人が向かう先として描かれているのです。
出典(3)
- 1.Wikipedia: Meisho-e — 元来「名所」とは、特定の詩歌や文学的言及に関連付けられた日本の場所を指していた。
- 2.Wikipedia: Woodblock printing in Japan — 日本の木版画は水性インクを使用しており、油性インクを用いる西洋の木版画とは異なり、色彩の鮮やかさや透明感、ぼかしを表現できる技術的特徴を持つ。
- 3.Wikipedia: Meisho-e — 名所は、能、歌舞伎、浄瑠璃といった演劇や、浮世絵などの視覚芸術における主題として頻繁に登場する。
