事実に基づく記述には出典を明記しています。番号は下の一覧に対応します。
ヴェネツィア絵画の「最後の巨匠」と呼ばれるティエポロが1、晩年に手がけた版画連作「スケルツォ」。2「スケルツォ」とは遊び心ある即興的な小品を意味する言葉で、この連作にはまさにその名にふさわしい、奇妙で夢幻的な世界が広がっています。2 中央に立つのは魔術師。この連作には魔術師や哲学者、ターバンを巻いた老人など、現実と幻想の境に立つ人物たちが繰り返し登場します。3 魔術師が若者たちへ差し示すのは、炎に包まれた生首。人生の無常と死への直面というテーマが、この連作を貫く核心です。4 指し示す手の線をよく見てください。細く途切れがちな線と白い紙の余白が絡み合い、まるで日光が降り注ぐような錯覚を生み出しています。5 この不気味な情景は単なる幻想ではなく、魔術や迷信が社会に深く浸透していた18世紀ヴェネツィアの空気そのものを映し出しています。6