Boa Charmer in a Harem at Cairo
Théodore Ralliこの作品について
描かれているもの
ハレムの内部には10人もの女性が描かれています。蛇を操る半裸の主役を囲み、笛やタンバリンを奏でる楽師たち。静寂の中に音楽と蛇の動きが混ざり合う、幻想的な一瞬が切り取られています。[1] 画面に描かれた真鍮製の透かし彫りランプは、ラリのお気に入りの小道具でした。この独特な「兜型」のランプは、翌年のアルジェリアのモスクを描いた作品にも再登場しています。[1] 本作の主役である蛇使いの女性は、翌年に制作された『ベリーダンサー』という作品にも、全く同じポーズ、同じモデルで登場します。画家ラリにとって、彼女は理想のミューズだったのかもしれません。[1]
背景と物語
この官能的な東洋趣味の絵画は、意外にも第一次世界大戦で活躍したオーストラリアの英雄、ジョン・モナッシュ将軍の手に渡りました。彼は1913年に豪邸と共にこの作品を購入しました。[1] 1882年にイギリスで初公開された後、海を渡りオーストラリアへ。その後、1970年代にロンドンのクリスティーズで競売にかけられるまで、この作品は数奇な所有者の変遷を辿ってきました。[1] 当時の大女優サラ・ベルナールは、ペットとしてボア(大蛇)を飼い、流行させました。本作にコブラではなくボアが登場するのは、彼女が象徴するパリの社交界の流行が反映されているためです。[1] 19世紀のエジプトにおいて、蛇使いは単なる大道芸ではありませんでした。呪文を使って蛇の毒を防ぐ「祓魔師(ふつまし)」としての役割や、病を癒やす医療的な側面も持っていたのです。[1] 師匠ジェロームの代表作に触発された本作ですが、あえて師の作品よりも縦横約30センチずつ小さく描かれています。巨匠への敬意と、独自の親密な空間表現へのこだわりが同居しています。[1] 画家ラリは、女優サラ・ベルナールの愛人と噂されたエドゥアール・アンジェロと親交がありました。このスキャンダラスな人脈が、蛇という官能的なモチーフの選択に影響を与えた可能性があります。[1]