事実に基づく記述には出典を明記しています。番号は下の一覧に対応します。
こちらに立つのはアスカロンの魔術師です。118世紀ヴェネツィアの巨匠ティエポロが描いたこの場面は、16世紀の詩人タッソの叙事詩『解放されたエルサレム』を題材にしています。2物語の舞台は十字軍の時代、キリスト教徒とサラセン人が激突する11世紀末のことです。3 魔術師が手にするのが、この盾です。彼はその表面に、騎士リナルドの先祖たちの英雄的な行為を映し出し、「あなたもその血を引く者だ」と静かに語りかけます。1 リナルドの表情をご覧ください。4以前の場面と比べ、彼の眼差しには迷いよりも覚悟が宿っています。 鮮やかな赤いマントは、ティエポロ得意の軽やかで明るい色彩感覚を示しています。この輝くような色調こそ、ロココ絵画の真骨頂です。5 この絵はヴェネツィアの貴族コロナロ家の宮殿を飾った連作の一つでした。6英雄が誘惑を振り切り使命へ戻る姿は、依頼主一族にとって市民的義務の手本そのものだったのです。7
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