第5章 ・ 見どころ
世紀末の転回 — 風景と曖昧さ(見どころ)
見どころ
- 一つひとつの境目を持たず、たがいに溶け合う緑の草木
- 丘や雲を表す、単純な曲線で描かれた遠くの地平線
- そのまま空の中へと消えていく、地平線の曲線
- 曖昧さの兆しをたたえた、油彩の風景画
書き起こし
フェリックス・ヴァロットンは、スイス出身でありながらパリを拠点に活躍し、木版画の革新者として名を馳せた画家です。1890年代には、日本の浮世絵からヒントを得た大胆な黒と白の面による版画で高い評価を確立しました。しかし1900年という世紀の変わり目は、彼の制作スタイルが静かに変容し始めた転換期でもありました。 遠景をご覧ください。丘と雲を表す曲線が、縞模様のように重なっています。かつて世界を正確に再現することに専念していた彼が、ここでは輪郭を単純な線へと還元しています。 その曲線は空へとそのまま溶け込み、大地と天の境界が曖昧になっていきます。 手前の緑の草地では、個々の草木の境界が消え、色が互いに溶け合うように広がっています。 かつてハード・エッジな色面で世界を切り取っていた版画家が、この作品では輪郭を手放し始めた。その静かな変化の瞬間が、この風景に刻まれています。
出典(5)
- 1.1900年以前、この芸術家は周囲の世界を正確に再現することに専念していた。The Cleveland Museum of Art
- 2.19世紀から20世紀への世紀の変わり目が、彼の制作スタイルの転換期となった。The Cleveland Museum of Art
- 3.この作品に示されているように、ヴァロットンの作品には曖昧さの兆候が表れている。The Cleveland Museum of Art
- 4.画面内の緑の草木は、個別の境界を持たず、互いに溶け合うように描かれている。The Cleveland Museum of Art
- 5.遠くの地平線は、丘や雲を表現する単純な曲線によって描写されている。The Cleveland Museum of Art