第4章 ・ 見どころ
室内の光と闇 — 黒白のドラマ(見どころ)
見どころ
- 画面の焦点となる、明るく光り輝く枝付き燭台
- 燭台の明かりとは対照的に、暗く沈んだ室内
- 様式化された形で描かれた、ポーカーに興じる人びと
- 白と黒の強烈なコントラストで立ちあがる、印象的な画面
書き起こし
1896年、フェリックス・ヴァロットンが木版画という表現媒体を芸術として再生させた時代の作品です。それまで複製技術に過ぎなかった木版画を、彼は独自の表現言語へと昇華させました。 画面を支配するのは、テーブルに置かれた燭台の光です。この一点の輝きが、暗闇の中にポーカーテーブルを浮かび上がらせています。 背景を満たす深い黒は、単なる闇ではありません。日本の浮世絵から学んだ、黒の塊と白の面による構成が、立体感を排して緊張感だけを残します。 手前に背を向ける大きなシルエット。様式化された形態によって、人物は個人を超えた「賭けに臨む者」の象徴として立ち現れます。 一方、正面を向く髭の男性の顔には、確かな個性が刻まれています。同じ画面の中で、象徴と個人とが共存する。これがヴァロットンの木版画の知性です。
出典(5)
- 1.ヴァロットンが生涯で制作した木版画の数は200点を超えており、その膨大な制作活動が彼の芸術的キャリアの基盤となっている。The Cleveland Museum of Art
- 2.白と黒の強烈なコントラストを用いる技法によって、画面内の要素が非常に印象的に表現されている。The Cleveland Museum of Art
- 3.ヴァロットンは、ポーカーに興じる一人ひとりのプレイヤーが持つ個性を、木版画の技法を通じて効果的に描写している。The Cleveland Museum of Art
- 4.画面の中には、明るく光り輝く枝付き燭台が描かれており、作品の視覚的な焦点の一つとなっている。The Cleveland Museum of Art
- 5.燭台の明かりとは対照的に、それ以外の空間は暗い部屋として描かれており、独特の室内空間の雰囲気を醸成している。The Cleveland Museum of Art