第5章 ・ 見どころ
運動を支えた人 — つなぎとめ、育てる(見どころ)
見どころ
- 木漏れ日のさす森の奥で眠る、ひとりの男性
- ポントワーズ近郊の農村エルミタージュの木立
- 純色だけに絞ったパレット
- 編み物にも例えた、規則的な対角線の筆づかい
書き起こし
1879年、カミーユ・ピサロはひどい貧困のなかでこの大作を描き上げました。同年開催された第4回印象派展に出品されたこの作品は、彼が長年暮らしたエルミタージュ村の森の奥地を舞台にしています。 頭上を覆う豊かな葉のキャノピーをご覧ください。ピサロはここに、規則的な対角線状の筆致を重ねています。その効果を彼自身は「編み物」に例えました。無数の純色が織り重なることで、光と影が震えるように共存する独自の質感が生まれています。 森の奥へと続く光の小道は、画面に深みと静けさをもたらします。その先には、 木々の間にひっそりと白い壁の家々が見えます。田園の日常を主題に選び続けたピサロらしい、生活の気配です。 貧困のただ中で、彼は光と労働が息づく場所を静かに、しかし革新的な筆で記録し続けました。
出典(1)
- 1.このキャンバス画は、1879年に開催された第4回印象派展に出品された。The Cleveland Museum of Art