多様さの探し方
3 works
多様さの探し方
同じ「猫」でも、筆のにじみ、版の色、人物のまなざしで美しさは全然ちがって見えてきます。3枚を並べて眺めると、「何を美しいと感じるか」が自分の中で少し動くはずです。
まずこの余白、静かすぎて耳が澄む感じしません?下の猫は墨のにじみだけで毛並みが立って見えて、首の黒い帯がきゅっと締まる。顔は上を見上げて、何かの気配待ちみたい。清朝の中国の絵だから、描かない所も美にする遊びが効くのかも。
さっきの墨の静けさと比べて、ここは色がふわっと甘いですね。立つ遊女の首すじが白く光って、顔は目を伏せ気味でやさしい。子どもが猫に手を伸ばす距離が、畳の上の空気まで伝えてくる。1768年頃の浮世絵って、日常の遊びを“きれい”に磨くのが上手です。
今度は細長い画面で、女の人が少し身を乗り出して、視線が床へ落ちています。そこに三毛猫がころんと戯れて、毛の模様がリズムみたい。顔つきは“姫”の気品を借りてるのに、やってることは猫に夢中。春信の流れを継いだ湖龍斎が江戸で磨いた美、あなたならどこに「多様さ」を感じます?