多様な美のかたち
3 works
多様な美のかたち
同じ「猫」でも、墨の余白、錦絵の色、人物の気配で美しさは別物に変わります。3点を並べて見ると、写すこと・飾ること・見立てることの違いが、あなたの「好き」を揺らしてきます。
上の余白に、細い墨の文字がさらっと流れて、下に丸い背中の猫がぽつん。耳の先だけ濃く、顔は上を見上げて黒い点の目が光ります。触れたら温かそうなのに、まわりは静寂。清朝の中国だから、描かない余白も美に数えたのかも。
さっきの静けさと比べて、ここは緑の畳と屏風の世界が明るいですね。立つ遊女の顔は白くつるんとして、視線は子どもへすっと降ります。着物の橙と黒の縞がリズムみたい。1800年頃の歌麿「夜の七つ」も思うと、猫遊びが“粋”の時間に見えてきませんか。
縦長の画面に、女性の顔がふわっと現れて、下では三毛猫がくねっと戯れています。毛並みの点々が、さっきの錦絵の模様みたいに楽しい。湖龍斎は亡き春信の雰囲気を受け継ぎ、江戸の薬研堀あたりで腕を磨いたそう。あなたは猫のどこに美を見つけます?