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美術館展覧会

冨嶽三十六景 駿州大野新田

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冨嶽三十六景 駿州大野新田 — 葛飾北斎

見どころ

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解説の書き起こしと出典

事実に基づく記述には出典を明記しています。番号は下の一覧に対応します。

葛飾北斎が七十代の円熟期に手がけた『冨嶽三十六景』。1富士山を各地の日常風景の中に据えることで、山岳信仰が人々の暮らしに溶け込んでいた江戸時代の空気を、一枚の版画に封じ込めた連作です。1 ご覧ください、画面を圧倒するように広がる富士山。駿河国、現在の静岡県富士市付近からの眺望です。2北斎は日本の水性木版画ならではの透明感ある藍を重ねることで、山の高さと湿地の広がりを一枚に共存させています。3,4 そして画面手前を横切るのは、柴の束を背負った牛の列。5よく見ると、束の稜線が富士の傾斜とほぼ同じ角度を描いています。6人の営みの形が、自然の造形を静かに映し返す。北斎の遊び心が潜む仕掛けです。6 牛が背負う束の大きさは、富士の雄大さと対比されることで、人の営みのささやかさをより際立たせます。5手前の動きと背後の静、この対比こそ北斎が本シリーズで繰り返し磨いた構図の核心です。7

出典7
  1. 1.ja.wikipedia.org葛飾北斎の代表作『冨嶽三十六景』全46図のうちの1図です。北斎が70代の円熟期に、富士山を様々な場所や角度から捉えた名所絵の連作であり、江戸時代の富士信仰の広がりを背景に制作されました。
  2. 2.ja.wikipedia.org駿河国(現在の静岡県富士市)の東海道沿いにあった大野新田からの景観を描いています。原宿と吉原宿の間に位置する、富士沼の南岸を通る街道から望む雄大な富士山が主題となっています。
  3. 3.ja.wikipedia.org藍色を基調とした色彩設計や、細部まで行き届いた線描は、北斎の卓越した描写力を示しています。湿地の広がりと富士の高さが、巧みな遠近法によって一枚の絵に収められています。
  4. 4.Wikipedia: Woodblock printing in Japan日本の木版画は水性インクを使用しており、油性インクを用いる西洋の木版画とは異なり、色彩の鮮やかさや透明感、ぼかしを表現できる技術的特徴を持つ。
  5. 5.ja.wikipedia.org柴の束を背負った牛と、それらを引く農夫たちののんびりとした荷運びの様子が描かれています。厳しい労働の中にも、穏やかな日常の風景が富士山の懐に抱かれるように表現されています。
  6. 6.ja.wikipedia.org牛が背負った柴の束の形状を、富士山の稜線の傾斜と相似させて描く点に北斎独自の工夫が見られます。自然の造形と人々の営みを視覚的にリンクさせる、北斎らしい遊び心のある演出です。
  7. 7.ja.wikipedia.org画面手前を人物や動物が横切る構成は、北斎が本シリーズの他作品でも用いた得意の構図です。この水平方向の動きが、背後にどっしりと構える静的な富士山の存在感と対比され、画面に安定感を与えています。