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美術館展覧会

冨嶽三十六景 凱風快晴

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冨嶽三十六景 凱風快晴 — 葛飾北斎

見どころ

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解説の書き起こしと出典

事実に基づく記述には出典を明記しています。番号は下の一覧に対応します。

北斎が七十代に手がけた『冨嶽三十六景』。江戸後期、海外との往来が厳しく制限されていた時代に、日本人は風景そのものを芸術の主題として磨き上げていきました。1その頂点に立つ一枚が、この「凱風快晴」です。2 まず目に飛び込むのは、この深く澄んだ青空です。3多色摺り木版画の技法と、水性インクならではの透明感が、油絵では出せない清澄な空気を生み出しています。4 山頂に残る白い雪をご覧ください。5この雪が残っているという事実こそ、山肌の赤が朝焼けだけではなく、夏の強い日光に輝く山肌そのものの色である可能性を示しています。6題名の「凱風」とは古典に由来する初夏の南風。雪と赤土が共存するこの情景は、まさに夏の入り口の富士なのです。 その赤く染まった山肌は、北斎が長年の構想を経て辿り着いた表現です。7写実を超えた色彩で、富士の存在感そのものを画面に定着させようとした意志が感じられます。 そして裾野に広がる深い緑の樹海が、山の巨大さを静かに支えています。8赤・白・青・緑という大胆な色の対比こそ、この作品が時代を超えて人を引きつける理由です。9

出典9
  1. 1.Wikipedia: Sakoku「鎖国」という語は、1801年に天文学者の志筑忠雄がドイツ人ケンペルの著作『日本誌』を翻訳する際に考案した造語である。
  2. 2.ja.wikipedia.org「神奈川沖浪裏」「山下白雨」と並び、シリーズ中の「三大役物」と称されます。浮世絵風景画の頂点を示す傑作として、美術史的に極めて高い評価を受けています。
  3. 3.ja.wikipedia.org大判錦絵という多色摺りの木版画技法で制作されています。限られた色数と版の重なりによって、空のグラデーションや山の質感を鮮やかに描き出しています。
  4. 4.Wikipedia: Woodblock printing in Japan日本の木版画は水性インクを使用しており、油性インクを用いる西洋の木版画とは異なり、色彩の鮮やかさや透明感、ぼかしを表現できる技術的特徴を持つ。
  5. 5.ja.wikipedia.org山肌の赤色は、必ずしも朝日に照らされた姿ではなく、快晴の下で明るく輝く山肌を強調するための表現という説もあります。雪渓が白く残されている点もその根拠とされます。
  6. 6.ja.wikipedia.org題名の「凱風」とは、『詩経』などの古典に由来し、夏に吹く穏やかな南風を意味します。この言葉は、作品に初夏の爽やかで瑞々しい情緒を添えています。
  7. 7.ja.wikipedia.org本作の刊行に先立つ1816年の『北斎漫画』五編において、すでに富士山を主題とした同様の構図を試みており、長年の構想を経て完成された表現であることがわかります。
  8. 8.ja.wikipedia.org山頂に残る雪渓や、中腹から麓にかけての茶色い山肌、そして最下部の深い緑の樹海という色の対比が、富士山の圧倒的な存在感と季節感を際立たせています。
  9. 9.ja.wikipedia.org画面いっぱいに富士山を正面から捉えた大胆な構図が特徴です。山裾には樹海が広がり、空にはいわし雲がたなびく様子が描かれ、雄大な自然の姿を凝縮しています。