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19世紀末、彫刻家ロダンはフランス政府から装飾美術館の扉口制作を依頼され、ダンテの『神曲』を主題とする壮大な『地獄の門』を構想します。1本作はその中心として生まれました。 当初この像は「詩人」と呼ばれ、地獄の業火を見下ろしながら叙事詩を構想するダンテその人を象徴していました。2 顎を右手で支えるこの姿勢は、単なる休息ではありません。全身の筋肉が緊張し、人間の苦悩と運命について深く葛藤する内面が、肉体そのものを通じて語られています。3 ロダンはあえて衣服を纏わせず、鍛え上げられた裸体で表現しました。4これにより、特定のダンテを超えた「思考する人間」の普遍的な象徴となっています。 ブロンズの表面には丁寧なパティナ処理が施され、素材に生命感と精神性が宿っています。5ミケランジェロの伝統を継ぎながら、近代彫刻の新たな地平を切り開いた作品です。