

The Passage of the Delaware
Thomas Sullyこの作品について
描かれているもの
兵士を運ぶために実際に使われた「ダラム・ボート」と呼ばれる平底船や、坂を下る最後の大砲など、細部まで当時の記録に忠実です。[1] 川を渡る直前、ワシントンが馬から降りて自ら軍に合流しようとする、緊迫した「決断の瞬間」を切り取っています。[1] 極寒の中、靴もなく足に包帯を巻いて行軍し、雪の上に血の足跡を残した兵士たちの過酷なリアリティが背景に込められています。[1] 史実に基づき夜の情景を描きながらも、象徴的な演出として、地平線には実際にはありえない「昇る太陽」が描き加えられています。[1]
背景と物語
縦3.7メートル、横5.2メートルという巨大さゆえ、納品先の州議会議事堂に入り切らず、契約が打ち切りになるという前代未聞の事態に見舞われました。[1] 有名なロイツェ作『デラウェア川を渡るワシントン』より30年以上も前に描かれており、その構図の先駆けとなった重要な作品です。[1] 制作費600ドルという破格の安値で引き受けたものの、巨大すぎて買い手がつかず、最終的には額縁職人にわずか500ドルで売却されました。[1] 師匠ベンジャミン・ウェストの代表作『ウルフ将軍の死』の影響を受けており、中央のワシントンを囲む将校の配置にその面影が見られます。[1] 画家のサリーは歴史的正確さにこだわり、天文学的な月齢記録を調べて、1776年12月25日の夜が実際に満月であったことを確認して描いています。[1] 「アメリカ肖像画界のプリンス」と呼ばれたサリーですが、本人は肖像画を「生活のため」、歴史画を「名声のため」と割り切っていました。[1]