The Epic of American Civilization
José Clemente Orozcoこの作品について
描かれているもの
「現代の精神の移ろい」のパネルでは、斧を手にしたイエス・キリストが、自らの十字架を切り倒し、宗教や軍事の象徴を破壊する衝撃的な姿が描かれています。[1] 古代アステカの生贄の儀式と、愛国心の名の下に戦死する現代の兵士を対比させ、いつの時代も組織のために個人が犠牲になる不条理を残酷に描き出しています。[1] 聖職者の襟をつけたハゲワシが、人々を縛り付ける鎖の鍵を握っているという痛烈な風刺画が含まれており、当時の制度化された宗教への強い不信感が示されています。[1] 産業化の象徴として描かれた巨大な機械の群れには、あえて「具体的な機能」が持たされておらず、人間性を奪う無機質な文明の脅威を表現しています。[1]
背景と物語
かつて「破壊すべき」とまで忌み嫌われたこの壁画ですが、制作から約80年後の2013年には、アメリカの国家歴史登録財(国定歴史建造物)に指定されました。[1] 「ボストンの母親たち」という団体が、この壁画を「共産党宣言を絵にしたものだ」と非難し、大学側に破壊を求める手紙を送りつけるスキャンダルに発展しました。[1] 同時期にディエゴ・リベラがNYで描いた壁画はレーニンの肖像ゆえに破壊されましたが、オロスコは大学から完全な政治的自由を与えられ、独自の表現を貫けました。[1] オロスコの壁画への反発として、1938年には同じ大学内にこの作品を揶揄する4枚の風刺壁画が描かれるという、前代未聞の「壁画による報復」が起きました。[1] 24枚の巨大なフレスコ画は、静かな大学図書館の地下閲覧室に描かれており、その過激な内容と静謐な学習環境とのギャップが訪れる者を圧倒します。[1] 当時の大学総長ホプキンスは保守的な共和党員でしたが、「芸術に人種や国籍はない」と断言し、批判からオロスコの表現の自由を断固として守り抜きました。[1]