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The Chord
Date1715
Departmentoil paint
SourceWikipedia
画像出典Wikimedia Commons ・ パブリックドメイン

この作品について

描かれているもの

ニューヨークのメトロポリタン美術館にある同名の有名な作品と長年混同されてきました。しかし、本作のメズタンはより小柄で、風景の中に溶け込むような親密なスケール感を持って描かれているのが大きな特徴です。[1] 描かれているのはイタリア喜劇の道化師「メズタン」です。彼は恋の仲介役や裏切り者として知られる複雑なキャラクターで、ワトーはこの人物を生涯で何度も繰り返し描き、自身の芸術の象徴的なモチーフとしました。[1] 題名の「和音(アコード)」とは裏腹に、男は演奏しているのではなく、ギターの弦を調節している最中です。完璧な音が鳴る直前の、静寂と緊張感が漂う一瞬を切り取った、ワトーらしい詩的な構成と言えます。[1]

技法と様式

このギターを弾くポーズは、ワトーにとってお気に入りでした。ルーヴル美術館所蔵の素描を元に、ゲティ美術館の『不意打ち』など、少なくとも他に2つの重要な傑作に全く同じ人物像が登場しています。[1] 男が纏うのは、ピンクの地に黄色い切り込みが入った華やかな衣装です。青いリボンや靴の装飾など、ワトー特有の繊細な色彩感覚が、演劇的な非日常の世界を小さな画面の中に鮮やかに彩っています。[1]

背景と物語

最終的な所有者であるオーマール公は、フランス国王ルイ・フィリップの息子でした。彼はこの絵を含む膨大なコレクションを「散逸させないこと」を条件にフランス学士院へ遺贈し、現在の美術館の基礎を築きました。[1] 縦24cm、横17cmという、現代のタブレット端末ほどの極めて小さな木板に描かれています。この小さな画面の中に、ロココ時代の優雅さと演劇的な情緒が凝縮されており、至近距離での鑑賞を前提とした親密な作品です。[1] 18世紀後半、この作品の市場価値は激動しました。1754年には300リーヴルで落札されましたが、フランス革命の影響か、1792年には120リーヴルまで暴落しており、時代の混乱が価格に生々しく反映されています。[1] かつてこの絵を所有していた画商ルブランは、マリー・アントワネットの肖像画家として名高いヴィジェ=ルブランの夫でした。彼はこの小品を気に入り、自身のオークションで何度も買い戻しては手元に置いていました。[1]