The Ambassadors
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見どころ
1分37秒
解説の書き起こしと出典
事実に基づく記述には出典を明記しています。番号は下の一覧に対応します。
1533年、ロンドン。ヘンリー8世がローマと決別し、宗教改革の嵐がヨーロッパを揺るがしていたその年に、ホルバインはこの一枚を描きました。1,2 二人の人物の間に置かれた棚に、まず目を向けてください。 上段には天球儀と日時計、下段には地球儀と楽器。天と地、宇宙の全階層を道具で表し、当時の人間知識の総体をここに凝縮しています。3 しかしその棚をよく見ると、不協和音が忍び込んでいます。 リュートの弦が一本切れています。隣にはルターが訳した聖歌集。知識と調和の象徴の中に、カトリックとプロテスタントの対立という亀裂が刻まれているのです。4 そして床を見てください。 足元に広がる奇妙な歪んだ形。これは「アナモルフォーズ」と呼ばれる技法で、斜めから見ると人間の頭蓋骨が現れます。栄光と知識に満ちた画面の中で、メメント・モリ——「死を忘れるな」——という言葉が、静かに、しかし確実に響いています。5
出典(5)
- 1.en.wikipedia.org — 1526年、宗教改革の影響でバーゼルでの仕事が激減したため、新天地を求めてイギリスへ。トマス・モアのサークルに迎え入れられたことが、彼のキャリアにおける大きな転換点となりました。
- 2.en.wikipedia.org — 1535年までにヘンリー8世の宮廷画家に任命されました。王やその家族、貴族たちの肖像画を数多く描き、イングランド国教会が成立していく激動の宮廷の姿を克明に記録しました。
- 3.en.wikipedia.org — 二段の棚は宇宙の階層を表しています。上段には天球儀や日時計など「天」に関する道具が、下段には地球儀や楽器など「地」に関する道具が並び、当時の人間が到達した知識のすべてを凝縮して描いています。
- 4.en.wikipedia.org — 棚に置かれたリュートは弦が一本切れており、当時の宗教改革による社会の不協和音を象徴しています。すぐ隣にはマルティン・ルターが訳した聖歌集が置かれ、カトリックとプロテスタントの対立を暗示しています。
- 5.en.wikipedia.org — 足元に浮かぶ奇妙な物体は、斜めから見ると人間の頭蓋骨が現れる「アナモルフォーズ」という技法です。死を常に意識させる「メメント・モリ」の象徴ですが、正面からは正体不明の染みにしか見えません。
