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美術館展覧会

冨嶽三十六景 武州玉川

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冨嶽三十六景 武州玉川 — 葛飾北斎

見どころ

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解説の書き起こしと出典

事実に基づく記述には出典を明記しています。番号は下の一覧に対応します。

葛飾北斎が七十代の円熟期に手掛けた『冨嶽三十六景』。1その全四十六図のうちの一枚が、この「武州玉川」です。 画面を支配するのは、多摩川の悠々たる流れと、その奥にそびえる富士の姿です。2水平に広がる川と垂直にそびえる山という対比が、見る者に自然のスケールを静かに体感させます。 手前の水面に目を凝らしてみてください。波の線は一つとして同じ形がありません。3北斎の水への執着が、この静かな川辺にも息づいています。 土手で馬を引く人物は、広大な自然の中にごく小さく配されています。4この点景こそが、多摩川の静寂と自然のスケールをいっそう際立たせる北斎の意図です。 富士山の手前には「すやり霞」が漂い、現実の風景に様式美を重ねています。5単なる遠近法ではなく、時空を超えた精神的な世界観を演出する、北斎特有の手法です。 藍を基調とした色彩と幾何学的な構成が、自然をデザインへと昇華させています。6

出典6
  1. 1.ja.wikipedia.org浮世絵師・葛飾北斎が70代の頃に手掛けた代表作『冨嶽三十六景』全46図のうちの1図です。落款には「北斎為一筆」と記されており、北斎が「為一」と名乗っていた時期の円熟した筆致が示されています。
  2. 2.ja.wikipedia.org画面中央に多摩川を大胆に配置し、その奥に「すやり霞」を挟んで富士山を高くそびえ立たせる構図です。川の流れと遠景の山が、水平方向と垂直方向の視覚的なバランスを保ち、空間の広がりを強調しています。
  3. 3.ja.wikipedia.org水面に描かれた波の線は、一つとして同じ形がないほど緻密に描き分けられています。北斎の水の表現に対する並々ならぬ執着と、動的な川の流れを静止した版画の中に定着させる高い描写力がうかがえます。
  4. 4.ja.wikipedia.org画面手前の土手で馬を引く男と、柴を積んで川を渡る船頭たちが描かれています。広大な自然景観の中に点景として人物を配することで、多摩川の静寂さと自然のスケールの大きさが際立たせられています。
  5. 5.ja.wikipedia.org富士山の手前に描かれた伝統的な「すやり霞」は、単なる遠近法の表現に留まらず、時間や空間を超越した精神的な世界観を演出する役割を果たしています。現実の風景に様式美を加える北斎特有の手法です。
  6. 6.ja.wikipedia.org藍色を基調とした「ベロ藍」の鮮やかな発色と、計算された幾何学的な構成が特徴です。自然の造形を三角形や曲線に還元して再構築する北斎の近代的なデザイン感覚が、この静謐な川辺の風景にも息づいています。