

Portrait of Omai
Joshua Reynoldsこの作品について
描かれているもの
オマイのポーズは古代ギリシャ彫刻「ベルヴェデーレのアポロン」を模しており、南太平洋の異邦人を西洋古典の英雄に見立てるという大胆な演出がなされています。[1] 18世紀当時、有色人種をこれほどまでの尊厳と威厳、そして主体性を持って描いた肖像画は他に例がなく、美術史上極めて画期的な作品として評価されています。[1] 英雄的なポーズは、彼の手にある伝統的なタトゥーを強調しています。これはポリネシアの成人儀礼の証であり、当時のロンドン社会に強い印象を与えました。[1]
背景と物語
5000万ポンドという巨額の価格のため、イギリスの国立肖像画美術館とアメリカのゲッティ美術館が共同購入し、両国で共有するという異例の決断が下されました。[1] 裁判所がこの絵画を「設備(プラント)」と定義したことで、売却益が非課税になるという驚きの判決が下され、後に税法の抜け穴が塞がれる騒動となりました。[1] イギリス政府は数十年にわたりこの作品の国外流出を阻止し続け、輸出免許の拒否を繰り返すという、異例の文化財保護の戦いが繰り広げられました。[1] レイノルズはこの作品を誰からの依頼も受けずに描き、生涯手放すことなく、1792年に亡くなるまで自身のスタジオに大切に保管し続けていました。[1] 2023年の買収では、アート・ファンドがその120年の歴史の中で最大となる250万ポンドの寄付を行い、国家的な至宝を守るための執念を見せました。[1] ルソーの「高貴な野蛮人」という思想に基づき、背景には実在しないヤシのような木々が描かれ、理想化された楽園の住人としてオマイを演出しています。[1] 2001年の競売では、代理人が興奮のあまり依頼人の予算を超えて入札してしまう「オークション熱」に陥り、当時のレイノルズ作品の最高額を記録しました。[1]