Polittico di Santa Barbara
Palma Vecchioこの作品について
描かれているもの
聖女の足元には、彼女が砲兵の守護聖人であることを示す「大砲」が描き込まれています。宗教画に近代的な兵器が直接描かれるのは、当時としては非常に珍しく、依頼主の職業を象徴する驚きのディテールです。[1] 6枚のパネルで構成されていますが、中央の聖バルバラは他の聖人たちよりも一際大きく描かれています。その圧倒的な存在感は、まるで生身の女性がそこに立っているかのような、ヴェネツィア派特有の生命感に満ちています。[1] 背景の塔には3つの窓があります。これは彼女が父の反対を押し切り、三位一体の教えを象徴するために作らせたもの。この信仰の証が父の怒りを買い、結果として彼女を殉教へと導くことになりました。[1]
技法と様式
現在この祭壇画を囲んでいる豪華な石造りのフレームは、実は18世紀に後付けされたものです。ルネサンス期の絵画が、後の時代の装飾と見事に融合し、今もなお教会の祭壇を華やかに彩り続けています。[1] 聖女が纏う茶色の衣と鮮やかな赤のマント、そして黄金色の髪に編み込まれた白いヴェール。色彩の魔術師と呼ばれたヴェネツィア派らしい、力強くも調和の取れた色彩設計が、見る者を圧倒します。[1]
背景と物語
作者は「パルマ・イル・ヴェッキオ(古パルマ)」と呼ばれます。これは、後に活躍した大甥のパルマ・ジョーヴァネ(若パルマ)と区別するための通称で、彼が生涯で到達した最高傑作の一つと見なされています。[1] 制作から500年近く経った現在も、ヴェネツィアのサンタ・マリア・フォルモーザ教会の当初と同じ場所に鎮座しています。略奪や売却を免れ、本来の空間で鑑賞できるのは、美術史上でも非常に稀なケースです。[1] 文豪ジョージ・エリオットは、代表作『ミドルマーチ』のヒロインをこの聖バルバラに例えました。1860年にヴェネツィアで実物を見たエリオットは、その気高い美しさに深く心を打たれ、日記にも記録を残しています。[1] ヴェネツィアの重砲兵隊「ボンバルディエリ」が、守護聖人である聖バルバラに加護と勝利を祈るために依頼しました。大砲の轟音の中で戦う兵士たちの切実な信仰が、この優美な祭壇画の背後に隠されています。[1] 19世紀の作家シャルル・イリアルトは、この教会の前を通るたび、この「美しい守護聖人」に敬意を表さずにはいられなかったと記しています。聖人でありながら一人の女性としての官能的な魅力も湛えた傑作です。[1]