

Madonna and Child with Saint Anne
Caravaggioこの作品について
描かれているもの
驚くべきことに、この作品で唯一「光の輪(後光)」が描かれていないのは幼子イエスです。通常、最も輝かしく描かれるはずの救世主に光輪がないのは極めて異例です。[1] 幼子イエスは完全に裸で描かれており、当時の反宗教改革の厳格な基準に抵触しました。神聖な存在の裸体表現は、当時の教会にとって受け入れがたいものでした。[1] 聖母マリアは当時のローマの庶民のような胸元の開いたタイトな服を着ており、その官能的な描写が聖堂の祭壇画としてはあまりに不謹慎だと見なされました。[1] 聖アンナは神々しい姿ではなく、しわの寄った「ただの老婆」として描かれています。彼女は傍観者のように痩せ細り、影の中に配置されるという冷遇を受けています。[1]
技法と様式
テネブリズムと呼ばれる強烈な明暗対比を使い、暗闇から人物を浮かび上がらせています。イエスに最も強い光を当てることで、彼が「世界の光」であることを強調しました。[1]
背景と物語
教会から拒絶されたこの不名誉な傑作をすぐに買い取ったのは、枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼでした。現在は彼の名を冠したボルゲーゼ美術館の至宝となっています。[1] サン・ピエトロ大聖堂に飾られたものの、わずか数日(4月8日から16日まで)で撤去されました。聖母の描き方が不適切であるというスキャンダルが原因でした。[1] 聖母のモデルは、カラヴァッジョの愛人だったレナという女性です。彼女は娼婦との噂もあり、聖なる母を描くモデルとして不適切だと教会から非難を浴びました。[1] 作品が拒絶された背景には、カラヴァッジョが当時、決闘で殺人を犯した犯罪者であったという事実も影響したと考えられています。彼の悪名が作品の評価を汚しました。[1]
制作
カラヴァッジョはこの巨大な祭壇画を、わずか4ヶ月足らずで完成させました。驚異的な制作スピードですが、その速さが描写の「雑さ」として批判の対象にもなりました。[1]