

Fêtes Vénitiennes
Jean-Antoine Watteauこの作品について
描かれているもの
黒い帽子で踊る男性は、ワトーの友人で画家のニコラ・ヴルーヘルスです。後にローマのアカデミー院長となる人物が、滑稽な仮装姿で描かれているのは驚きです。[1] 画家ワトー自身も、バグパイプを奏でる音楽家として画面の中に紛れ込んでいます。自らを主役ではなく、宴を盛り上げる脇役として描いた自己投影です。[1] 登場人物が纏う「ヴェネツィア風」の衣装は、実はイタリアの即興喜劇「コメディア・デラルテ」に着想を得たもの。現実と虚構が入り混じる仮装の世界です。[1] ワトーが抱えるバグパイプは、中世以来「性の象徴」とされてきました。ヒエロニムス・ボスの奇想画にも見られる、官能的な隠喩がこの優雅な宴に潜んでいます。[1] 描かれているのは「メヌエット」。当時の社交界で最も洗練されたダンスですが、背景では男女が密かに口説き合うなど、規律と欲望が同居しています。[1] 中央で踊る女性は、オルレアン公の愛人だった女優シャルロット・デマールと目されています。彼女は公爵との間に私生児をもうけたスキャンダラスな女性でした。[1]