Football Players
Albert Gleizesこの作品について
描かれているもの
タイトルは「サッカー」ですが、描かれているのは実はラグビーです。楕円形のボールと手を使った激しい接触プレーは、当時フランスで熱狂を呼んでいたラグビーの試合そのものを表現しています。[1] 画面中央ではタックル寸前の激しい身体的衝突が描かれる一方で、右下には対照的に可憐な花々が描き込まれています。スポーツの暴力性と静物画的な美しさが、一つの画面に同居する逆説的な構成です。[1] 背景には近代的な橋や煙を上げる煙突が描かれ、スポーツという人間ドラマと工業化する都市風景が融合しています。伝統的な静物画を好んだ他のキュビストとは一線を画す、壮大な現代社会の記録です。[1]
技法と様式
ピカソらの初期キュビスムが地味な単色に拘泥したのに対し、グレイズは鮮やかな原色を大胆に取り入れました。批評家アポリネールは、この色彩の豊かさを「キュビスムはもはや暗くない」と絶賛しました。[1]
背景と物語
縦2.2メートルを超える巨大なキャンバスは、当時のキュビスム作品としては異例の規模です。親密な室内画ではなく、公共のサロンで人々の目を引くための「記念碑的な宣言」として制作されました。[1] 1916年にバルセロナで開催されたグレイズ初の個展において、本作は最も重要な展示作品の一つでした。その後、現地の画廊主ダルマウのコレクションとなり、長らくスペインの地で保管されていました。[1] この作品はかつて、アメリカの副大統領も務めた大富豪ネルソン・ロックフェラーのコレクションの一部でした。1955年に彼が購入し、その後ニューヨークの画廊を経て現在のナショナル・ギャラリーに収蔵されました。[1] 批評家アポリネールは本作に、哲学者ベルクソンの概念である「エラン・ヴィタール(生命の飛躍)」を見出しました。単なるスポーツの描写ではなく、生命が持つ根源的なエネルギーの爆発として評価されたのです。[1] 「移動視点」という理論に基づき、静止した一場面ではなく、複数の角度から見た選手の動きや思考のプロセスを同時に描いています。これは網膜で見る現実を超え、真実の姿を捉えようとする試みでした。[1] 制作当時のフランスではラグビー熱が暴動に発展することもありました。1913年の試合では判定に怒った観客が審判を襲撃し、騎馬警官が出動する騒ぎに。本作の激しい描写は、当時の熱狂と地続きなのです。[1]