描かれているもの
現在座っている3人の女性の場所には、元々全く別の人物が描かれていました。画家の心変わりが、キャンバスの層の中に封じ込められています。[1] 2人の若い伊達男(ギャラント)が女性たちに近づく様子は、当時の宮廷社会における洗練された、しかし危うい社交の縮図です。[1] タイトルが示す「困惑させる提案」とは何か。男女の微妙な距離感と表情から、恋の駆け引きの緊張感と気まずさが漂っています。[1] 下層に描かれていた「ギターを弾く女性」はワトーが好んだモチーフ。なぜ彼女を消して現在の構図に変えたのか、画家の意図は謎に包まれています。[1]
技法と様式
X線調査により、現在の絵の下に別の構図が隠されていることが判明しました。かつてはギターを弾く女性を含む4人が描かれていたのです。[1] ワトーが開拓した「雅なる宴(フェート・ギャラント)」の典型。自然の中で貴族が戯れる、儚くも優雅な夢のような世界観を表現しています。[1]
背景と物語
ロシアの女帝エカチェリーナ2世が1769年に購入。彼女の膨大なコレクションの一部となり、エルミタージュ美術館の礎を築きました。[1] 18世紀のフランスからドイツ、そしてロシアへと渡り、革命や戦争を乗り越えて現在もサンクトペテルブルクのエルミタージュに留まっています。[1] ロシアに渡る前は、ドレスデンの有力者ハインリヒ・フォン・ブリュールの私蔵品でした。当時の貴族がいかにワトーを愛好したかを物語ります。[1] 1715年頃、ワトーが名声の絶頂に向かう時期の作品。繊細な筆致と色彩は、後のロココ様式に決定的な影響を与えました。[1]