二人の労働者
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見どころ
1分32秒
解説の書き起こしと出典
事実に基づく記述には出典を明記しています。番号は下の一覧に対応します。
右の男は無表情に、 前田寛治は、二十世紀初頭のパリで西洋近代絵画を学んだ日本人画家です。この《二人の労働者》は、1923年の制作とされています。1 緑のジャケットに帽子をかぶった左の男を見てください。その表情は険しく、何かを堪えるような緊張感をたたえています。そして縞模様のシャツを着た右の男は、対照的に無表情で内に閉じています。二人は向き合うでもなく、それぞれの重さを抱えたまま画面に存在しています。 テーブルに置かれた左の拳に注目してください。握りしめられたその手は、言葉にならない意志や怒りを静かに物語っています。実はかつてこの画面には、「労働者は自覚す、いざ歩こう」というローマ字の文言が書かれていました。現在は消されていますが、その痕跡は今も残っています。2 色彩と構図にはセザンヌの影響が色濃く、計量的な処理が画面に確かな量感をもたらしています。3メッセージは消えても、二人の身体が発する無言の力は、いまも見る者に問いかけてきます。
出典(3)
- 1.滝悌三 『前田寛治』 日動出版部 1977年 — 『二人の労働者』は1923年作とされている。寛治が図版選択に関与した昭和五年刊行・外山卯三郎編の画集にそう記載されていることが、その根拠のひとつである。
- 2.滝悌三 『前田寛治』 日動出版部 1977年 — 『二人の労働者』の画面には、かつて「労働者は自覚す、生存を不合理なる社会に強いられず、いざ歩こう」というローマ字二行が書かれていた。現在は消され、跡をとどめているだけである。
- 3.滝悌三 『前田寛治』 日動出版部 1977年 — 『二人の労働者』の色彩、構図、計量的処理はセザンヌ調である。
