事実に基づく記述には出典を明記しています。番号は下の一覧に対応します。
ヴェネツィアが生んだ最後の巨匠、ティエポロ。1この作品は、ドイツ南部の教会に贈られた祭壇画のための承認用スケッチです。2,3本番の制作に入る前に、依頼主へ見せるために描かれたものでした。 画面の中心に立つのは、聖セバスティアヌス。木に縛り付けられ、矢で射られたキリスト教の殉教者です。4 その顔をよく見てください。苦悶ではなく、静けさが漂っています。信仰への献身を象徴するように、体は輝く光に溢れています。5 縛り付けられた枯れ木は、死の象徴でありながら、殉教者を十字架に見立てる図像の伝統でもあります。 黄金色の雲に乗る天使たちは、この場面を地上の出来事ではなく、天へと昇華する瞬間として演出しています。 素早く確信に満ちた筆致6は、スケッチでありながら完成作の輝きを宿しています。これがティエポロの力です。1