第5章 ・ 見どころ
光こそ様式の核 — 明暗の魔法(見どころ)
見どころ
- 少年たちに燃える頭を指し示す魔術師
- 廃墟や古代の浮き彫りのあいだで調べられる、占星術や骸骨
- 白い紙と途切れた線が生む、日光が降りそそぐような錯覚
- 影が消され、暗い部分さえ光でできた透明な画面
書き起こし
ヴェネツィア絵画の「最後の巨匠」と呼ばれるティエポロが、晩年に手がけた版画連作「スケルツォ」。「スケルツォ」とは遊び心ある即興的な小品を意味する言葉で、この連作にはまさにその名にふさわしい、奇妙で夢幻的な世界が広がっています。 中央に立つのは魔術師。この連作には魔術師や哲学者、ターバンを巻いた老人など、現実と幻想の境に立つ人物たちが繰り返し登場します。 魔術師が若者たちへ差し示すのは、炎に包まれた生首。人生の無常と死への直面というテーマが、この連作を貫く核心です。 指し示す手の線をよく見てください。細く途切れがちな線と白い紙の余白が絡み合い、まるで日光が降り注ぐような錯覚を生み出しています。 この不気味な情景は単なる幻想ではなく、魔術や迷信が社会に深く浸透していた18世紀ヴェネツィアの空気そのものを映し出しています。
出典(4)
- 1.光はティエポロにとって不可欠な表現手段であり、彼の芸術スタイルの根幹をなす要素である。The Cleveland Museum of Art
- 2.場面全体に日光が降り注いでいるような感覚は、白い紙と神経質で途切れた線のコントラストが生み出す錯覚である。The Cleveland Museum of Art
- 3.影の表現は排除されており、最も暗い領域でさえ光によって構成されているため、透明感を持って描写されている。The Cleveland Museum of Art
- 4.版画の不気味な雰囲気は、魔術や迷信、魔女術に没頭していた18世紀のヴェネツィアの社会状況を反映している。The Cleveland Museum of Art