

The Garden of Earthly Delights
Hieronymus Boschこの作品について
描かれているもの
扉を閉じると現れるのは色彩のない「世界の創造」の光景。中を開いた瞬間に広がる極彩色の楽園と地獄との強烈なコントラストは、観る者を一気に異世界へと引き込みます。[1] 外側の扉に描かれた神は、広大な宇宙の隅に座る小さな老人として描かれています。巨大な地球の球体に対して神を小さく描くことで、宇宙の圧倒的なスケールを表現しています。[1] 左翼の楽園には、当時ヨーロッパでは珍しかったキリンや、象の背に乗る猿など、実在の珍獣と空想の怪物が混在しており、ボスの驚異的な想像力を物語っています。[1] 楽園の風景の中に、獲物を食らうライオンが描かれています。平和なはずのエデンに「死」や「暴力」が既に存在しているという描写は、ボスの冷徹でシニカルな世界観を象徴しています。[1] 中央パネルには、巨大なムール貝を担ぐ男と、貝から突き出た男女の脚が描かれています。これは性的な象徴とされており、パネル全体に溢れる裸体の群像とともに、現世の快楽や色欲を暗示していると考えられます。[1] 右翼には、巨大な耳がナイフを突き出し、人々を切り裂きながら進む「耳の戦車」が描かれています。ボスの独創的な想像力が生んだこの怪異は、地獄における容赦ない暴力と、逃れられない責め苦を象徴しています。[1] エデンの園を描いた左翼では、アダムがイヴを初めて見た瞬間の驚きが描かれています。学説によっては、これが人類史上初の「性的興奮」の瞬間を表現していると解釈されています。[1]
技法と様式
外側は「グリザイユ」という技法で灰色一色に塗られています。これは太陽や月が作られる前の、光なき混沌とした世界を表現しており、内側の鮮やかな色彩を際立たせる演出です。[1]
背景と物語
1939年以来、スペインのプラド美術館に所蔵されています。そのあまりの奇想天外さから、数世紀を経て20世紀のシュルレアリスムの先駆けとしても再評価されました。[1] 描かれた内容があまりに過激で官能的であるため、この作品は教会に飾るための祭壇画ではなく、貴族の邸宅を飾るための娯楽、あるいは教訓画として注文されたと考えられています。[1] 中央パネルには神の姿が一切描かれていません。これは、神の監視を離れ、自由意志の名の下に欲望のままに振る舞う人類の危うさを象徴しているという説があります。[1] ボスが40代から60代の円熟期に、約20年もの歳月をかけて制作したと推測されています。一人の画家の生涯をかけた宗教観と、中世からルネサンスへの過渡期の混沌が凝縮されています。[1]
この絵に描かれているもの
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