

緊迫した場面をリアルに描くため、梯子の上でキリストを降ろす男の一人は、両手を自由に使うために「白い亜麻布の端を歯で食いしばって」います。ルーベンスらしい、細部への凄まじい執着が見て取れます。[1] 画面下の地面には、キリストの頭を締め付けた「茨の冠」と、手足に打ち込まれた「釘」が、凝固した血とともに銅製の盆の中に生々しく描かれており、直前までの凄惨な拷問の痕跡を物語っています。[1] 三連祭壇画の両翼には、キリストの「誕生」にまつわる場面が描かれています。中央パネルの「死」と対比させることで、キリストの生涯の始まりと終わりを一つの物語として完結させる、壮大な構成になっています。[1] 翼の裏側に描かれた聖クリストフォロスは、単なる伝説の巨人ではなく、カトリックの核心である「聖体(キリストの体)」を運ぶメタファーです。これはプロテスタントの否定に対する、視覚的な反論でもありました。[1]
暗い背景から人物が浮き上がるような強烈な照明効果が用いられています。特にキリストの遺体を包む「白い布」が反射板のような役割を果たし、画面全体に神聖な輝きを与えています。[1]