

14世紀のオルガス伯の葬儀中、聖ステファヌスと聖アウグスティヌスが天から舞い降り、自らの手で彼を埋葬したという驚くべき伝説が描かれています。[1] 主人公のオルガス伯は、ビザンツ帝国最後の王朝パレオロゴス家の血を引く貴族であり、画家の故郷ギリシャとの奇妙な縁を感じさせます。[1] 画面中央では、オルガス伯の魂が「透き通った赤ん坊」の姿で描かれ、天使の手によって天国へと運び上げられる神秘的な瞬間を表現しています。[1] 天上の場面には、当時まだ存命だったスペイン国王フェリペ2世の姿があります。現世の王が死後の世界に描かれるという、極めて異例の構成です。[1] 参列者の中に、こちらをじっと見つめるエル・グレコ本人の自画像が隠されています。手を挙げた騎士のすぐ上に配置されています。[1]
14世紀の人物の葬儀ですが、伯爵は16世紀当時の最新の甲冑を纏っています。これはティツィアーノが描いた王族の正装を参考にしています。[1]
左下の少年は画家の息子ジョルジュ。彼のポケットのハンカチには、画家の署名と共に息子の誕生年である1578年という数字が記されています。[1] 参列者には当時のトレドの著名人が実名で描かれており、公開直後から「知人の顔が見られる」と街中の人々が教会へ押し寄せました。[1] 教会との契約書には描くべき内容が細部まで指定されていましたが、グレコは参列者の服装を現代化するなど、独自の解釈で伝説を「更新」しました。[1] この傑作は、400年以上経った今も制作当時と同じトレドのサント・トメ教会に飾られています。本来あるべき場所で鑑賞できる稀有な例です。[1] 制作費を巡り教会と激しい法廷闘争に。エル・グレコは高額を要求しましたが、最終的には妥協し13,200レアルという低額で和解しました。[1] 縦4.8メートル、横3.6メートルという巨大な作品ですが、天界と地上を分断することなく、一つの壮大な物語として融合させることに成功しています。[1]