

ヴァザーリの壁画にある「探せ、さらば見つからん」という謎の銘文。これがレオナルドの失われた傑作が、二重壁の裏に隠されていることを示す暗号ではないかと長年信じられてきました。[1]
油彩を壁画に応用しようと実験的な手法を試みましたが、絵具が滴り落ちる大失敗に。巨大な炭火の火鉢で乾かそうとした結果、熱で上部の色が混ざり合い、制作放棄に追い込まれました。[1]
この壁画の制作契約書には、あの『君主論』で有名な政治思想家ニッコロ・マキャヴェッリが署名していました。ルネサンスの巨星たちが一つの作品を巡って交差していたのです。[1] 宿命のライバル、レオナルドとミケランジェロが同じ部屋の両壁を競作した唯一のプロジェクト。二人の天才の火花散る対抗心が、この巨大な壁画制作の背景にありました。[1] 現在私たちが知るこの作品の姿は、バロックの巨匠ルーベンスによる模写が元になっています。失われた傑作の魂は、100年後の別の天才の手を通じて現代に伝えられているのです。[1] 1505年から1512年までの約10年間、レオナルドとミケランジェロの未完の傑作が同じ部屋に並んで展示されていました。それは美術史上、最も贅沢で奇跡的な空間だったと言えるでしょう。[1] 2012年、壁の裏側に内視鏡を挿入する調査でレオナルド特有の顔料が発見されましたが、既存の壁画を傷つけるとの批判から調査は中断。真実は今もレンガの壁の向こうに眠ったままです。[1] 対面に描かれるはずだったミケランジェロの下絵は、嫉妬に狂った彫刻家バンディネッリによって切り刻まれました。レオナルドの失敗だけでなく、暴力的な破壊もこの競作の悲劇でした。[1] 巨大な壁画に挑むため、レオナルドはアコーディオンのように伸縮・昇降する独創的な足場を自ら設計しました。彼のエンジニアとしての才能が、芸術制作の現場でも発揮されていた証拠です。[1] 2020年の最新研究では、レオナルドは実際には壁画を一切描き始めていなかったという衝撃的な説が浮上しました。彼が考案した下地では、物理的に絵具が壁に定着しなかったという推論です。[1]