

二人が座っているのは実は古代ローマの「石棺」を改造した水槽である。石棺の浮き彫りには、人間が鞭打たれたり髪を掴んで引きずられたりする暴力的な場面が描かれ、情熱の抑制を象徴している。[1] 背景の左側には2羽のウサギが描かれている。ルネサンス期においてウサギは多産や性欲の象徴であり、この作品が結婚を祝うためのものであることを示す具体的なヒントとなっている。[1] 噴水の蛇口は男性器を模したような形状をしており、そのすぐ隣には依頼主アウレリオの紋章が刻まれている。これは、この泉(愛の成就)における依頼主自身の存在を暗示していると考えられている。[1] 現代の感覚とは逆に、裸体の女性が「天上のヴィーナス(聖なる愛)」を、着衣の女性が「地上のヴィーナス(俗なる愛)」を表すとされる。裸体こそが虚飾のない神聖な真実の象徴と見なされていた。[1] 描かれた二人の女性は、全く同じモデルを元に描かれたように見える。これは新プラトン主義における「双子のヴィーナス」という概念を視覚化したもので、愛の二面性を一人の人物で表現している。[1] 背景は左右で対照的だ。左側の「俗なる愛」の後ろには城塞のある険しい上り坂が、右側の「聖なる愛」の後ろには教会のある穏やかな下り坂が描かれ、世俗の苦労と宗教的な安らぎを対比させている。[1] 裸体の女性が掲げているのは、煙が立ち上る香炉である。これは神への祈りや精神的な高揚を象徴しており、彼女が肉体的な愛ではなく、より高潔な「聖なる愛」の体現者であることを示唆している。[1]
若きティツィアーノの未熟さゆえか、左側の着衣の女性の下半身は上半身と整合性が取れていない。膝が不自然に大きく開いており、よく見ると彼女が何に座っているのかさえ物理的に説明がつかない。[1]