Retable of the Virgin of Montserrat
Bartolomé Bermejoこの作品について
描かれているもの
聖母マリアが「大工ののこぎり」の上に座っているという奇妙な描写は、モンセラート(ギザギザの山)という地名の由来である「天使が山をのこぎりで切った」という伝説を視覚化したものです。[1] 足元の草むらには、マリアの月である5月の花々(ケシ、セージ、ヒルガオなど)が細密に描き込まれています。植物学的な正確さと宗教的な象徴性が、一枚の絵の中で共存しています。[1] 幼子イエスが糸で繋がれた「ヒワ」を手に持っている姿は、将来の受難(キリストの死)を予兆しています。可愛らしい子供の姿に、残酷な運命の象徴が忍び込んでいるのです。[1] 背景には鳥の目線から見た広大な海岸線が描かれています。これはフランドル風の緻密な描写に、イタリアの風景画の影響が融合した、当時としては極めて先進的な空間表現でした。[1]
技法と様式
祭壇画を閉じると、モノクロームの「グリザイユ」技法で描かれた受胎告知が現れます。まるで大理石の彫刻が動き出したかのような錯覚を鑑賞者に与える、技巧を凝らした仕掛けです。[1]
背景と物語
画家ベルメホは、自らの署名を「折りたたまれた手紙」のように描き、前景の草の上にさりげなく置きました。これは当時としては非常に高度な遠近法と遊び心を感じさせる演出です。[1] 中央パネルは巨匠ベルメホが描きましたが、両翼のパネルはロドリゴとフランシスコのオソナ親子が担当しました。スペインの異なる才能が結集した、国際色豊かな共同制作プロジェクトです。[1] 16世紀から17世紀にかけて寄進者の肖像が「改ざん」されました。世俗の商人の帽子が聖職者のものに描き変えられ、1987年の修復でようやく元の商人の姿が日の目を見ることになりました。[1] 注文主の商人デッラ・キエーザは、サヴォーナからバレンシアへの航海を無事に終えたことへの感謝としてこの作品を依頼しました。命がけの旅の無事を祝う、切実な願いが込められています。[1] 聖母の主題は、時の教皇シクストゥス4世の一族への「忖度」だった可能性があります。教皇の甥がモンセラート修道院の院長を務めていたため、政治的なアピールの側面もありました。[1]