

ルーヴル版との決定的な違いは、背景の両端に「柱」が描かれている点です。また、木板ではなく手織りのリネンキャンバスに描かれていることも、この作品の大きな特徴です。[1] 描かれているリザ・デル・ジョコンドは、ルーヴル版よりも明らかに若々しく、レオナルドが同じモデルを数年前に描いた「初期版」である可能性を示唆しています。[1] ルーヴル版には左目の上に解剖学的に不可能な「膨らみ」という欠陥がありますが、このアイルワース版にはその欠陥がなく、より正確で美しい造形を持っていると指摘されています。[1]
1988年のコンピュータ解析により、顔部分の筆致がルーヴル版と一致することが判明しました。物理学者のアスマスは、同一の画家による筆跡であると結論付けています。[1] 初公開時のレビューでは、レオナルド作品特有の「黄金の輝き」を放っていると表現されました。細部まで緻密に仕上げられたその質感は、巨匠の真作であることを予感させます。[1] 1960年代の濃度測定テストでは、顔や手の明暗の階調が極めて緩やかであることが示されました。これはレオナルドの驚異的な視力のみが可能にする技法だと主張されています。[1]
「アイルワース」という通称は、発見者ブレイカーのスタジオがロンドン西部の「アイルワース」にあったことに由来します。作品の由来ではなく、修復場所が名前になりました。[1] 作品のサイズは84.5×64.5センチで、ルーヴル美術館にある有名な『モナ・リザ』よりも一回り大きく描かれています。[1] 専門家の意見は真っ二つに分かれています。レオナルド研究者の27人中24人が本物だと支持する一方で、権威あるマーティン・ケンプ教授は弟子の模写だと断じています。[1] 1780年代にイタリアから英国へ渡ったとされ、100年以上も貴族の館に眠っていました。1913年に鑑定家ヒュー・ブレイカーが発見するまで、その存在は世に知られていませんでした。[1] 批評家ポール・コンディは、ルーヴル版よりも「はるかに心地よく美しい」と評しました。特に目や口のラインの美しさは、レオナルド自身の筆によるものだと称賛されています。[1] フランスの画家サトゥールは、二つの作品の顔の幅の違いについて、レオナルドが「両眼視」という新しい視覚的遠近法の実験を行っていたためではないかという大胆な仮説を提唱しました。[1]
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