海
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見どころ
1分16秒
解説の書き起こしと出典
事実に基づく記述には出典を明記しています。番号は下の一覧に対応します。
前田寛治は、大正から昭和初期にかけて西洋絵画の技法を日本に根づかせようとした画家です。1930年に描かれたこの「海」は、彼が晩年に集中して取り組んだ主題でした。1 寛治が着目したのは、太平洋岸の明るい海ではなく、太陽を背にすることで深い青を湛える日本海でした。2その選択が、この作品の色彩の根拠となっています。 白波の隙間からのぞくエメラルドグリーンは、その日本海特有の光の向きが生み出す色です。2 画面中央を垂直に突き抜ける力強い筆触は、波の一瞬の動きを固定するのではなく、エネルギーそのものを油彩の筆致で表そうとした意志を感じさせます。3 右側に高く立ち上がる波しぶきと、右上へ激しく飛び散る水滴は、構図全体に上昇するリズムを与えています。 海を「風景」として静かに切り取るのではなく、自然の力そのものと向き合おうとした画家の姿勢が、この一枚に刻まれています。
出典(3)
- 1.滝悌三 『前田寛治』 日動出版部 1977年 — 作品『海』は1930年に制作された。
- 2.滝悌三 『前田寛治』 日動出版部 1977年 — 寛治の晩年のモチーフ『海』は、太陽に向かって眺める太平洋岸の海ではなく、太陽を背にすることで深い青となる日本海の海に着目したのが始まりだった。
- 3.滝悌三 『前田寛治』 日動出版部 1977年 — 作品『海』は油彩・画布で制作されている。
