

聖ニコラウスの足元にある3つの球体は、彼が貧しい家の窓から投げ入れた「娘たちの身受け金」である3つの金袋、あるいは三位一体を象徴していると言われています。[1] 聖母と聖人たちは互いに視線を交わさず、完全に孤立しています。これは師ペルジーノの影響が色濃い、初期ラファエロ特有の静謐で厳格なスタイルです。[1] 玉座の天蓋には「Salve Mater Christi(めでたし、キリストの母)」という文字が刻まれ、後のローマ時代の人間味あふれる作風とは異なる、厳格な神性を強調しています。[1] この玉座は写実性よりも視覚効果を優先して設計されています。肘掛けがなく、階段はあまりに急で、現実には座ることすら困難な構造をしています。[1]
画面内の金色の輝きは、本物の金箔を一切使っていません。ラファエロの卓越した色彩技術によって、まるで本物の金であるかのように描き出された視覚的トリックです。[1]
1885年にロンドン・ナショナル・ギャラリーが約7万ポンドで購入。これは当時の絵画取引における史上最高額の3倍という、当時の常識を覆す驚天動地の価格でした。[1] マールバラ公爵の邸宅ブレナム宮殿に所蔵されていたため、かつては「ブレナムの聖母」という別名で呼ばれ、世界で最も完璧な絵画の一つと称賛されました。[1] 本来は複数のパネルで構成された祭壇画でしたが、裾絵(プレデッラ)の数枚は「不可解なことに」紛失しており、現在もその行方は分かっていません。[1] わずか23歳にして、ラファエロは「真の芸術家は、何を描かないかによって知られる」という格言を体現するような、無駄を削ぎ落とした傑作を完成させました。[1]
1505年に着手され1507年に完成したと考えられています。このわずか2年の間に、ラファエロの作風が急速に進化していく過程が刻まれています。[1]