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A Sea-Spell
Date1877
Departmentoil paint
SourceWikipedia
画像出典Wikimedia Commonsパブリックドメイン

この作品について

描かれているもの

モデルのアレクサ・ワイルディングは、ロセッティの「理想の女性」を体現するミューズでした。彼女は本作だけでなく、対になる作品でもモデルを務め、画家の夢想の世界を支配していました。[1] 船乗りを死に追いやる恐ろしいセイレーンの周囲には、無垢なリンゴの花が咲き乱れています。誘惑と死、そして純潔さが同居する、ラファエル前派らしい逆説的な象徴表現です。[1] 官能的になりすぎるのを防ぐため、ロセッティはあえてセイレーンの腕を「男性的、あるいは年配の女性のよう」に描きました。美しさの中に精神性を保とうとする、画家の苦心が伺えます。[1]

技法と様式

描かれた楽器はハープやプサルタリーとされますが、近年の分析では日本の伝統楽器「琴」の変形版であると判明しました。西洋の幻想的な主題に東洋の楽器が紛れ込んでいるのです。[1]

背景と物語

ロンドンで生まれたこの作品は、オーストラリア、ニューヨークを経て、現在はハーバード大学の美術館に収蔵されています。一世紀以上にわたり、世界中のコレクターの手を渡り歩きました。[1] 対になる作品『ヴェロニカ・ヴェロネーゼ』では鳥が音楽家にインスピレーションを与えますが、本作では音楽家が鳥を誘惑します。自然と芸術の主従関係を逆転させた、知的な遊びが隠されています。[1] 画面上のカモメを描くため、ロセッティは剥製を入手し、博物学者の助けを借りて配置を決めました。この剥製の扱いに手間取ったことが、作品完成を遅らせる一因となりました。[1] パトロンのレイランドが「数枚買うつもりだ」と示唆したため制作されましたが、後にレイランドはそんな約束はしていないと否定。芸術家と支援者の間の微妙な金銭トラブルが背景にあります。[1] 批評家ジェローム・マッギャンは、ロセッティが理屈をこねすぎたせいで、この作品は「失敗作」であると酷評しました。美の追求が裏目に出たという、スキャンダラスな評価の一例です。[1]

制作

ロセッティは絵画を完成させる8年も前の1869年に、この作品のためのソネット(詩)を既に書き上げていました。言葉のイメージが先にあり、視覚化には長い年月を要したのです。[1]

Images courtesy of partner museums. All artworks are in the public domain.